りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

貧乏だけど贅沢(沢木耕太郎)

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深夜特急』の著者が、各界有名人と「旅における贅沢な時間」について語り合った対談集です。いきなり空港へ行ってから目的地を選ぶという井上陽水。船旅をこよなく愛した阿川弘之。インドのブッダガヤに留まり続ける此経啓助。死に場所を見つけたいと語る高倉健。日本の伝統的な自然観を旅の中で捉え直している高田宏。

あまり早くに外国に行く必要はないと断言する山口文憲文化人類学的に異国への旅を定義する今福龍太。最初の海外初体験はアメリカでの下着モニターだったという群ようこキューバを拠点とするミュージシャン八木啓代。旅とギャンブルは紙一重だというプロ雀士の田村光昭。

何が贅沢な時間であるかは人によって異なるのですが、「不自由であることが未来に向けての贅沢な時間を鍛え上げるという点では共通しているように思える」と、著者は記しています。私にとっての旅とは、パートナーとの濃密な時間を共有する機会なのですが、金銭的な意味も含めた不自由な経験のほうが強烈に記憶に残っているのも事実です。

2019/5