りぼんの読書ノート

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蘭の館(ルシンダ・ライリー)

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「世界的ベストセラー作家が描く姉妹の謎」とのコピーで大々的に売り出された「セブン・シスターズ」シリーズの第1巻は、長女マイアの物語。ブレアデス星団に由来する名を持つ、アルキュオネー(アリー)、アステロペー(スター)、ケライノー(セセ)、ターユゲテー(ティギー)、エレクトラ、メロペーの7姉妹の物語が順に語られていく中で、「謎」が解かれていくのでしょう。

この7姉妹は、レマン湖のほとりに建つ美しい館「アトランティス」の主であるパ・ソルトに養女として迎えられた娘たち。自らの生まれも養父の実像や目的も知らされずに育てられながら、それぞれ特徴を有する美しい女性となった娘たちは、突然に養父の死を知らされます。しかも訃報を知った娘たちがアトランティスに戻った時には、養父の遺体は遺言によって既に水葬されたあと。彼女たちに遺されたのは、天球儀に刻まれた各々の名前と、出生地らしい座標の数字だけだったのです。

長女マイアの座標が示していたのは、リオデジャネイロにある「蘭の館」と呼ばれる名家の屋敷。はるばるリオの屋敷を訪れたマイアが見出したのは、80年前に生きたマイアとそっくりの女性イザベラの哀しくも数奇な運命の物語だったのです。

80年前のイザベラの悲恋と、現代のマイアが抱えていた傷から癒される物語が交互に描かれていきますが、正直言って内容はハーレクインですね。80年前に建設されたリオの巨大なキリスト像が、イザベルと関わっていたという秘史はそれなりにおもしろかったのですが・・。

養父の実像や、養女を育てた目的や、今なお不明である7人目の養女の存在や、さらには養父の生死が不明であることなどの疑問は、全7巻となるであろうシリーズを読了してはじめて解決されるのでしょうが、もう十分という感じです。

2019/1