りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

通い猫アルフィーとジョージ(レイチェル・ウェルズ)

イメージ 1

飼い主の急死で放浪生活に陥った末、二度と辛い境遇に陥りたくないと、複数の飼い主を持つようになった「通い猫アルフィー」のシリーズ3作目です。

ちょっとした奇跡を起こして結び付けたジョナサンとクレアの夫婦の家を本宅としながら、DV男や育児ノイローゼ、慣れない異国での暮らしなど様々な問題を持つ人たちの心を癒し、前作では綺麗な白猫スノーボールという彼女を持つことができたアルフィーを、悲しい別離が襲います。

それはスノーボールの飼い主であるスネル一家の転居でした。飼い猫の身としては、どうしようもありませんね。突然の別れに打ちひしがれたアルフィーを見かねて、ジョナサンとクレアは子猫のジョージを飼い始めます。子猫の世話なんてとんでもない・・と思ったアルフィーでしたが、その可愛らしさに父性が刺激されてしまったようです。

しかし問題はそれだけではありません。ジョナサンとクレアは養子を迎えることで大喧嘩。失業したマットに代わってフルタイムの仕事を始めたポリーの夫婦関係も微妙です。子供たちを連れてポーランドに里帰りしたフランチェスカは、トーマスのもとに戻って来るのでしょうか。夫の浮気で離婚したターシャは、新しい恋人マックスとつきあうことに足を踏み出せないでいるのです。しかも飼い主たちの問題だけでなく、この界隈で猫が次々と誘拐される事件が起こっているようなのです。アルフィーとジョージは、飼い主たちのためにある計画を立てるのですが・・。

今回の事件を通してアルフィーは、今まで近くにありすぎて意識していなかった大切なものに気付きます。著者が「本書の最大の読みどころかもしれない」という、大切なものとは何なのでしょう。もちろんハッピーエンドなのですが、ハッピーすぎてシリーズが終わってしまいそうな気がするほどです。

2018/7