りぼんの読書ノート

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紅霞後宮物語 第4幕(雪村花菜)

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第3幕で反乱を起こしたものの、軍人皇后の小玉にあっけなく滅ぼされた鄒王でしたが、その背後にはやはり黒幕が潜んでいたようです。皇帝なのにやけに細かい文林は、帳簿に登場する「維山」という地名に不自然さを感じて、小玉を現地調査に送り出します。

天才軍人である小玉には軍を率いさせたいのですが、そうもいきません。小玉は、皇后の行脚という形で維山に向かい、さらに皇后には替え玉を立てて一介の校尉に変装して調査を開始します。このあたりは「スターウォーズ・エピソード1」のクイーン・アミダラのようですね。維山の街には、わかりやすい不正と、謎めいた誘拐が頻発していたのですが、その両者には関わりがあるのでしょうか。

本書のテーマは「凡庸な悪」ということのようですが、それだけではありません。その背後にあった信仰の問題は、単純な善悪の枠組みを超えているようです。とはいえこの戦いは、軍人時代に姉のように慕っていた明慧の弔い合戦でもあるので、容赦するわけにはいきませんね。

新設された龍武軍を率いることになった小玉がますます軍事の天分を発揮させたのに対し、夫の皇帝・文林は、愛すべき外道ぶりが一段とレベルアップしたようです。このシリーズは、まだまだ続きそうなので、続編を楽しみに待つことにしましょう。展界的にはそろそろ強敵が登場する頃合いかとも思いますので。

2017/12