りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2017/3 ナチ略奪美術品を救え(ロバート・M・エドゼル)

オーストリア世界遺産ハルシュタット近くの岩塩杭で、ナチが略奪した美術品を爆破される直前に救出した場面は、映画「ミケランジェロ・プロジェクト」でもクライマックスになりました。映画の原作となったノンフィクション・ドキュメンタリーを今月の1位にしたのは、昨夏のオーストリア旅行の余韻もあるのです。ハルシュタット・・綺麗でした。

1.ナチ略奪美術品を救え(ロバート・M・エドゼル)
第二次大戦の末期、ナチスが欧州各国から収奪した美術品を保護・奪還した特殊部隊「モニュメンツ・メン」の活躍を描いたドキュメンタリー作品です。映画「ミケランジェロ・プロジェクト」の原作になりました。敗色濃くなったヒトラーが爆破命令を出す中で、列車や納屋や城や岩塩杭で美術品を奪還していく様子は、まるで映画のようです。いや、映画化されたのですが・・。

2.ハケンアニメ!(辻村深月)
ハケンとは「覇権」のこと。そのクールに放映されるアニメ番組の中で最もディスクが売れる「ハケンアニメ」の座を巡って、プロデューサー、監督、アニメーター、声優たちがしのぎを削って競い合う物語。小説と漫画とアニメと映画から等しく影響を受けたという著者も、本書の執筆を楽しんだようです。作中に登場するアニメ作品のプロットも、相当に書き込まれていて楽しめます。

3.料理通異聞(松井今朝子)
天明期の江戸で一番の料理屋「八百善」を築きあげた、4代目栗山善四郎の一代記です。江戸料理を成熟させた時代背景をダイナミックに著す一方で、料理そのものについては繊細に描き出してくれるのは、祇園の料亭を実家に持つ著者ならでは。善四郎が、食材を吟味し、手間を惜しまず、工夫を施して料理を創り上げていく様子は、著者が作品を生み出す姿勢と似ているように思えてきます。



2017/3/30