りぼんの読書ノート

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7は秘密(リンジー・フェイ)

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ロンドンのスコットランドヤードに遅れること16年、ニューヨーク市警の創設は1845年でした。ゴッサムの神々に続く「ニューヨーク最初の警官」シリーズ第2作は、人種問題へと踏み込んでいきます。

1846年の真冬、ニューヨーク市警で刑事的な役割を務めるティムに助けを求めてきたのは、黒人との混血でありながら白人男性と結婚している美しい女性ルーシー。自由黒人である彼女の妹と息子が、悪辣な逃亡奴隷捕獲人に拉致されたというのです。同じく警官の兄ヴァレンタインの助けを得て彼女たちを救出したものの、今度は一家を匿った兄の家でルーシーが殺害されてしまいます。はたして、事件の真相はどこにあるのでしょう。

優れたミステリは時代背景を映し出すものですが、本書もその例外ではありません。激しい社会変動と政治対立の中で創設されたばかりのニューヨーク市警は市民から「常備軍」として非難され、警官たちは敵意と不信で迎えられたとのこと。政治活動を優先させる警官や、露骨に悪事を行う警官も多い中で、正義を貫こうとするティムは、次第に孤立していくのですが・・。

ヴァルの元カノで売春宿のマダムを務める美しき悪女シルキーが、前作に続いていい味を出しています。このシリーズは「三部作」とのこと。ティムとヴァルの兄弟はどこに行きつくのか、次作にも期待です。

2016/1