りぼんの読書ノート

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妖怪探偵・百目2(上田早夕里)

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人類の前に公然と姿を現した妖怪たちと人間が、打算と駆け引きによって共存している境界の街・真朱。絶世の美女にして全身の眼で真実を見透かす探偵・百目と、頼りない人間の助手・相良邦雄が、「人間性の限界」を探るような事件に挑む物語。

と思っていたら、いきなりの急展開です。「穢れ」を餌にして巨大化し、人間も妖怪も全てを飲み込んでいく大妖怪「濁(だく)」が街に迫っているというのです。それだけでなく、「濁」を仇敵として妖怪殲滅を目指す陰陽師・播磨遼太郎の動きも気になります。両者には浅からぬ因縁もあったのです。

やはり、この人の作品は面白いですね。異形の存在を扱いながら、多様な価値観の衝突と共存を図っていく展開は、なかなか深いものも感じます。3巻で1シリーズとのことですので、この物語は次巻で決着がつくのでしょう。水木しげるさんや、京極夏彦さんの作品を思わせる妖怪だけでなく、オリジナリティも出している点にも好感を持てます。

2015/10