りぼんの読書ノート

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影のミレディ(ラヴィ・ティドハー)

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スチームパンク伝奇SFともいうべき「ブックマン・シリーズ」の第2巻です。第1巻の革命の倫敦から5年後、舞台はフランスへと移りました。

シャーロック・ホームズの世界をベースとした第1巻に対し、本巻のベースは三銃士の世界。もう、時代考証も何もあったもんじゃありませんね。1789年の「静かなる革命」によって、機械人形の議会が政権を握ったパリの権力者は「元枢機卿」であり、女スパイであるミレディのボスは「ガスコーニュの男」なのですから。もっとも、魂を転写しえる「ブックマン」や、永遠の生命を有する機械人形が跋扈する世界ですから「何でもあり」なのでしょう。

女敏腕エージェントとして知られるミレディは、議会の命を受けて、モルグ街で起こった怪事件の独自捜査を開始します。マイクロフト率いる英国諜報部のみならず、怪人ファントマ、サド侯爵、クァジモド、ジキル、フランケンシュタイン、カミラ、フーディニ、さらには清国武侠らも登場する悪夢的世界を生き延びたミレディは、「エメラルドのブッダ像」として崇められている、外宇宙から来た物質にたどりつきます。そしてシカゴ万博の夜、ホワイトシティの大観覧車の背後で、スターゲイトが開こうとするのですが・・。

登場人物が交錯していますが、ミレディという強烈なキャラが中心にいることで救われています。ただ、ミレディが全然妖婦らしくなく、最後にはサイボーグになってしまうことと、表紙のミレディの絵が完全にネタバレになっていることが、少々興を削いでしまったようです。

2015/2