りぼんの読書ノート

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ぬけまいる(朝井まかて)

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2014年の直木賞を受賞した朝井さんのことは、まったくノーチェックでしたので、とりあえずすぐに借りられる作品を1冊読んでみました。

もう若くはない年齢になった、幼馴染の3人娘が、伊勢神宮への「抜け参り」の旅に出る東海道中記。十返舎一九の『東海道膝栗毛』を思わせますが、この3人娘はなかなか現代的。悪ギャルを懲らしめ、悪妻に苦しむ老人を救うついでにお金も稼ぎ、傾いた老舗旅館のために賭場にだって乗り込む。つまらぬことで諍うけれど、いざとなったら結束する。それぞれに悩みもあるけど、恋もする。なかなかの「時代ものエンターテインメント」です。

熱血美女ながらニート状態で母親の一善飯屋を手伝っているお以乃。日本橋に表店を構えるまでに実家の商売を繁盛させて婿養子をとったお蝶。貧乏浪人の娘ながら譜代御家人の元に嫁いだお志花。3人揃って「猪鹿蝶」と呼ばれた元娘たちが、なぜ「抜け参り」に出ることになったのでしょう。彼女たちの「願い」は叶うのでしょうか。

お以乃に惚れた「長さん」の正体が、ある歴史上の人物だと明らかになったときには、「まさか、お蝶とチェンジ?」と思いましたが、そこまで都合の良い展開ではありませんでしたね。米村圭伍さんとの共通点も思わせますが、著者のユーモア時代小説は本書が初めてだそうです。次は、直木賞を受賞した『恋歌』か近著の『阿蘭陀西鶴を読んでみましょう。

2015/2