りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

相も変わらずきりきり舞い(諸田玲子)

イメージ 1

前作きりきり舞いで18歳だった舞も20歳になってしまいました。

中風を病んで気難しさを増した父親・十返舎一九。一九の弟子と舞の許嫁を自称して居候中のがさつな大男・今井尚武。離縁されて出戻ってから居候を決め込んでいる幼馴染の北斎の娘・お栄。周囲奇人たちに縁談を壊され続けてきた元小町娘の舞も、行き遅れの年増女への道をまっしぐら。「奇人気まぐれきりきり舞い」のまじないを唱えて、癇癪を耐え忍ぶ毎日。

今回も、踊りの師匠の結婚式の騒動や、一九本人も知らなかった隠し子の登場や、奇人中の奇人である葛飾北斎の登場、舞に思いを寄せてきた延岡藩の若い勤番侍など、エピソード満載。なぜかあっさりと舞の延岡への輿入れを認めた一九だったのですが・・。

一九の人生の行間にあった「事情」について大胆な推理を展開した前巻と比較すると、コミック調の軽さだけが残った「軽い読み物」になってしまいました。舞の身も落ち着いたところで、このシリーズは2作で終わりのようです。ついでながら、奇人たちの世話をしながら傑作を書かせていた、蔦屋などの出版元の苦労を、お察しいたします。

2014/11