りぼんの読書ノート

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ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ(ゲイル・キャリガー)

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吸血鬼や人狼が人類と共存し、メカ使用人がお屋敷で働くヴィクトリア朝英国。「ホラー」と「スチームパンク」が同居する独特の世界観に基づいて綴られたアレクシア女史シリーズに続く、ソフロニア嬢シリーズの第2作。

レディのための「花嫁学校(Finishing School)」と間違って「スパイ養成学校(Finishing School:直訳すると殺人学校)」に入学してしまったソフロニア・テミニック嬢。しかもこの学園は空中に浮かぶ飛行船だったのです。たちまち能力を発揮して、試験で優秀な成績をとったソフロニアでしたが、それがもとになって友人たちと仲違いするはめになってしまいます。

そんななか、空中学園がいつもの荒れ地を離れてロンドンに向かうことになります。しかも「邪悪な発明家」を養成する男子校の生徒たちも同行するというのですから、女子校の生徒たちは盛り上がります。しかしそこにはやはり、「裏」がありました。

エーテル帯の中を飛んで飛行時間の短縮をめざす実験と、ロンドン在住の吸血鬼たちの思惑が微妙に絡んでいたのです。屋敷から動けない女王から遠く離れて活動できない吸血鬼たちは、この実験の成果に賭けていたんですね。しかし、実験に欠かせない新発明品の「試作品」を、偶然ソフロニアが手にしてしまったために、騒動が巻き起こってしまいます。

この時代より25年ほど時代設定が後だった「アレクシア・シリーズ」に登場する人物たちも次々と登場。9歳の天才女性ルフォーや、人狼王女のシドフィーグらに続いて、本巻では、お洒落なはぐれ吸血鬼であるアケルダマ卿も登場。次巻で決着とのことですが、どんな趣向を持ち込むのか楽しみです。まさか、アレクシアの父親が登場してしまうとか・・。

2014/10