りぼんの読書ノート

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サウンド・オブ・ミュージック(マリア・フォン・トラップ)

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ジュリー・アンドリュース主演で大ヒットしたミュージカル映画サウンド・オブ・ミュージック」の原作は、激動の人生をおくった著者の自伝です。

第1次世界大戦後の1926年、ザルツブルクのフォン・トラップ男爵の屋敷に家庭教師として雇われたのは見習い修道女のマリア。上は15歳から下は5歳までの子どもたちと、音楽を通して心を通い合わせるようになったマリアは、やがて父親のゲオルク男爵と恋に落ちて翌年に結婚。この後の彼女の生活は、まるでジェットコースターのようにアップダウンを繰り返していきます。

1933年の金融恐慌で財産を失うと、家族の合唱を披露して収入にしていこうと決意。ザルツブルク音楽祭の大衆歌手コンテストで優勝して「トラップ室内聖歌隊」としてコンサートを始めた一家は、当時の首相から招待されるほどの人気を得ます。

しかし、1938年のナチス・ドイツによるオーストリア併合後に亡命を決意。映画はスイスに脱出するところで終わりますが、お金も権利もない難民ですから、数週間単位で欧州各地を転々とし、最後にはアメリカへと旅立ちます。その中で、音楽が趣味から本職へとなっていったとのこと。

渡米後の物語はアメリカ編』に譲りますが、苦境の中でも常に、家族の絆と敬虔な信仰を失うことのないマリアの明るさが素晴らしいですね。映画のキャラは決して誇張ではありません。トラップ男爵は、実際よりも軽めのキャラに設定されてしまったようですが。

2014/5