100年前の『青鞜』発刊と、50年前のパンナムによる日系二世スチュワーデス採用の間には、太平洋戦争という大きな断絶が横たわっていますし、そもそも別の国の出来事なのですが、それでも女性の社会進出の歩みが加速していることは感じられます。 1位にあげたウリツカヤさんは、おそらくロシアでもっとも著名な女性作家でしょうが、モスクワ大学で遺伝学を専攻したという異例の経歴を持っている方です。
1.クコツキイの症例(リュドミラ・ウリツカヤ)
患部を「透視」できるという能力を持つ産婦人科医パーヴェルが、スターリン時代のソ連で違法とされていた堕胎の合法化を訴えたとき、妻エレーナは夫を拒否し始め、家族の崩壊が始まりました。「雪解け」という時代の変換期を背景にして、社会と人間、生と死、宗教と科学という大きなテーマなに取り組む本書は、「現代のトルストイ作品」のようです。
患部を「透視」できるという能力を持つ産婦人科医パーヴェルが、スターリン時代のソ連で違法とされていた堕胎の合法化を訴えたとき、妻エレーナは夫を拒否し始め、家族の崩壊が始まりました。「雪解け」という時代の変換期を背景にして、社会と人間、生と死、宗教と科学という大きなテーマなに取り組む本書は、「現代のトルストイ作品」のようです。
2.パン・アメリカン航空と日系二世スチュワーデス(クリスティン.R.ヤノ)
戦後すぐに世界一周路線を開業した唯一の航空会社は、1955年という早い時期に最初の非白人スチュワーデスとして日系二世を採用し始めました。コスモポリタニズムと文化的多様性を象徴し、控えめで尽くすタイプの女性として日系二世を選んだパンナムに対して、応募した女性たちはドライでした。「世界を見てまわれるじゃない!」。グローバライゼイションの先駆けでもあり、ひとつの「戦後史」としても貴重な作品です。
戦後すぐに世界一周路線を開業した唯一の航空会社は、1955年という早い時期に最初の非白人スチュワーデスとして日系二世を採用し始めました。コスモポリタニズムと文化的多様性を象徴し、控えめで尽くすタイプの女性として日系二世を選んだパンナムに対して、応募した女性たちはドライでした。「世界を見てまわれるじゃない!」。グローバライゼイションの先駆けでもあり、ひとつの「戦後史」としても貴重な作品です。
3.『青鞜』の冒険(森まゆみ)
平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった」という創刊の辞や、与謝野晶子が送った「山の動く日来る」という詩によって、「新しい女たち」というコンセプトを打ち出した雑誌の実態に、20年以上も地域雑誌編集に携わった経験のある著者が迫ります。編集後記から読み取れる高揚感も、営業活動や地道な作業をないがしろにした反省も含めて、『青鞜』は「先駆者」だったのですね。
平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった」という創刊の辞や、与謝野晶子が送った「山の動く日来る」という詩によって、「新しい女たち」というコンセプトを打ち出した雑誌の実態に、20年以上も地域雑誌編集に携わった経験のある著者が迫ります。編集後記から読み取れる高揚感も、営業活動や地道な作業をないがしろにした反省も含めて、『青鞜』は「先駆者」だったのですね。
【その他今月読んだ本】
・ライアンの代価(トム・クランシー)
・ポーツマスの旗(吉村昭)
・即興詩人(森鴎外/アンデルセン)
・「即興詩人」のイタリア(森まゆみ)
・ボルジア家風雲録(アレクサンドル・デュマ)
・死神の浮力(伊坂幸太郎)
・たぶんねこ(畠中恵)
・ソハの地下水道(ロバート・マーシャル)
・贋作と共に去りぬ(ヘイリー・リンド)
・老人と宇宙(そら)5 戦いの虚空(ジョン・スコルジー)
・ミカドの淑女(林真理子)
・緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道(山本昌代)
・MM9 destruction(山本弘)
・権力と栄光(グレアム・グリーン)
・ブルボンの封印(藤本ひとみ)
・おいで、一緒に行こう(森絵都)
・恋する空港 - あぽやん2(新野剛志)
・ライアンの代価(トム・クランシー)
・ポーツマスの旗(吉村昭)
・即興詩人(森鴎外/アンデルセン)
・「即興詩人」のイタリア(森まゆみ)
・ボルジア家風雲録(アレクサンドル・デュマ)
・死神の浮力(伊坂幸太郎)
・たぶんねこ(畠中恵)
・ソハの地下水道(ロバート・マーシャル)
・贋作と共に去りぬ(ヘイリー・リンド)
・老人と宇宙(そら)5 戦いの虚空(ジョン・スコルジー)
・ミカドの淑女(林真理子)
・緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道(山本昌代)
・MM9 destruction(山本弘)
・権力と栄光(グレアム・グリーン)
・ブルボンの封印(藤本ひとみ)
・おいで、一緒に行こう(森絵都)
・恋する空港 - あぽやん2(新野剛志)
2014/2/28