りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

MAMA(紅玉いづき)

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ミミズクと夜の王電撃小説大賞を受賞した著者の第2作はやはり魔物の物語ですが、前作よりも「グリム色」は薄れているようです。

魔術師の血筋であるサルバドールに生まれたものの魔術の才には恵まれなかった少女・トトは、神殿の奥に迷い込んで「人喰いの魔物」の封印を解いてしまいます。それは魔物の心の片隅に残っていた、耳を残して魔物に喰われた少年が母親に助けを求めた声を聞いてしまったから。

異国の物語で聞いたことがある「ホーイチ」と魔物を呼んだことが、「名づけの儀式」となってしまい、孤独な人喰いの魔物と、彼のママになろうとした少女の、儚くも愛しい歪んだ愛の物語が幕を開けます。10年の時が過ぎて乙女となったトトの前に現れた青年ゼクン。瀕死の重傷を負ったゼクンに対して「ホーイチ」はひとつの賭けを持ちかけるのですが・・。

本編の物語は唐突に終わった印象を残しますが、彼らの「その後」は、併録されている「AND」という続編で描かれます。魔物に喰われた少年の母親が少年につけさせた耳飾りを盗み出したダミアンは、それを持ち主に返そうとするのですが・・。まぁ、トトの唯一の友人であった王妹ティーアンともども、皆それなりにハッピーになっているようです。

2013/11