りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

青玉(サファイア)は光り輝く(ケルスティン・ギア)

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ドイツ生れのタイムトラベル・ファンタジー3部作の第2巻です。前作のタイトルであった「ルビー」は主人公の少女グウェンドリンに割り当てられた宝石でしたが、「サファイア」は彼女の年上の従姉妹で、秘密結社「監視団」に反逆して逃亡中のルーシーを指す宝石のこと。本巻にはルーシーは登場しないんですけどね。

タイムトラベル能力の調整のために行う「時間消化」中に、若き日の祖父に出会ったグウェンは、パートナーのギデオンや監視団のメンバーには内緒で、ルーシーとポールが反逆した謎を解明しようと画策します。祖父が蔵書に忍ばせた秘密は「家の中の座標」でした。そこには何が隠されているのでしょうか。

「監視団」を創設したサンジェルマン伯爵の招きでギデオンと共に訪れた18世紀の夜会。酔っ払ってミュージカル「キャッツ」の「メモリー」を歌ってしまうという大失態を演じたグウェンでしたが、なぜか伯爵は彼女に固執し続けます。そして不気味な予言詩の存在。「円環が閉じる」とは何を意味するのか。伯爵も監視団も悪なのか。グウェンが恋してしまったギデオンもその一味にすぎないのか。しかし伯爵に対立するフィレンツェ同盟なる組織も、同様に不気味です。どうやら主戦場は18世紀になりそうですね。最終巻『比類なき翠玉』を楽しみに待ちましょう。

グウェンにしか見えないガーゴイルの幽霊(それとも悪魔?)のセメリウスはキュートですね。しゃばけシリーズの鳴家(やなり)のような存在ですが、スパイとしてはもっと役に立ちそうです。

2013/9