りぼんの読書ノート

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アーサー王と円卓の騎士(ローズマリ・サトクリフ)

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「サトクリフ版アーサー王物語」は全3部作。第1作である本書では、アーサー王の誕生から聖杯の騎士パーシヴァルの登場までが描かれます。

本書には、魔術師マリーンの誕生と予言、アーサー王の誕生と「石に刺さった剣」や「湖の剣」のエピソード、王妃グウィネヴィアとの結婚と持参品の円卓、妖姫モルガンの陰謀、湖の騎士ランスロットの登場、ガウェインと緑の騎士、台所の騎士ボーマン、ランスロットとエレイン、ガラハッドの誕生、トリスタンとイズー、ジェレイントとイーニッド、ガウェインと醜い貴婦人、そしてパーシヴァル参上と、アーサー王伝説におなじみの物語が次々と登場してきます。

ではどこが「サトクリフ・オリジナル」なのでしょうか。著者がもとにした、15世紀後半のサー・トマス・マロリー著「アーサー王の死」とはどう異なっているのでしょうか。それはどうやら、人間の力を超越した「聖杯」によって左右される運命の力を暗示しながらも、アーサー王、王妃グウィネヴィア、騎士ランスロットの三角関係をはじめとして、登場人物たちの人間的な魅力を生き生きと描き出し、さらには当時の歴史的背景との矛盾を最小限にとどめるように書かれていることであるように思えます。

だから、とっても読みやすいんですね。本書の最後にパーシヴァルを向かえて絶頂に達した感のある「円卓の騎士」の運命が変転していく第2部、第3部も読み継いでみようと思います。

2012/9