りぼんの読書ノート

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魔女の刻 2.メイフェア家の魔女たち(アン・ライス)

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ゴシック・ホラーの大家による『ヴァンパイア・クロニクルズ』と並ぶ長編大作が、この『魔女の刻』シリーズ。残念ながら第1巻は図書館にもなくて、第2巻からの読書となってしまいましたが、一気に物語世界に引き込まれてしまいます。

第1巻で、海で溺れて来世に足を踏み入れかけた建築家マイケル・カリーを現世に引き戻したのが、名族メイフェア家の末裔で美貌の女医のローアンでした。ローアンと恋に落ちたマイケルに近づいてきたのが、中世からずっとメイフェア家の魔女たちの動向を探ってきた超常現象研究団体・タラマスカのアラン。第2巻では、タラマスカ・レポートによる「メイフェア家の歴史」が綴られます。

すべての出発点は17世紀、スコットランドの貧農の娘スザンヌでした。悪霊を呼び出す不思議な力に目覚めたスザンヌ魔女狩りで火刑に処せられますが、その能力はフランスの地方貴族に嫁いだ娘のデボラに、さらにハイチに嫁いだ孫娘シャルロットへと受け継がれていきます。

その過程で、タラマスカのメンバーでありながらデボラとシャーロットへの肉欲に苦悩したピーティルが、ラシャーと名づけられた悪霊の恐るべき力に気づきながら敗れ去った事件は、序盤の大きなイベント。

メイフェア家は近親相姦によって絆を強めつつ、女性によって継承されていきます。歴代の女主人の首を飾るエメラルドは、かつてデボラが力の象徴として手に入れた品。

ジャンヌ・ルイーズ、アンジェリック、ルイジアナに移住したマリー・クローデット、妖女マルグリート、力のない魔女だったキャサリン、彼女に代わって「魔女」的な力を振るった兄のジュリアン、真に力ある最後の魔女メアリー・ベス、享楽的なステラと一族と距離を置いているカーロッタの姉妹、ステラの娘アンサ、ディルドレーと続く魔女達の系譜は、当代のローアンへと繋がっていくのですが、ずっとラシャーの影がつきまとっているんですね。

そして、タラマスカに救いを求めたかのようなステラは、兄ライオネルに射殺され、250年ぶりにメイフェア家に接近したタラマスカ・メンバーも命を落とすに到ります。「カーロッタの存命中はメイフェアに近づくな」とのメッセージを遺して・・。

アン・ライスさん、不思議な一族の歴史を語らせたら超一流です。次巻では、300年に渡る魔女と悪霊ラシャーの関係に決着がつけられる現代へと戻ってくるのですが、過去の物語がどこまで現代に絡んでくるのか楽しみです。

2011/7