りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

横濱 唐人お吉異聞(山崎洋子)

イメージ 1

開国間もない横浜で母・紀代と暮らす娘・瑠璃の前に、かつて下田でハリス領事に仕えたという伝説の女「らしゃめんお吉」が現れます。紀代とお吉には過去に深い関係があったようなのですが、なぜかお吉を避ける紀代。

奔放なお吉はそんなことも気にせずに娘の瑠璃に近づき、余計な世話を焼くなかで、やがて、瑠璃の母親はお吉であるとの噂が聞こえてきます。果たして真相は・・という物語なのですが、結末には意表を衝かれました。

お吉はハリスの妾ではなく、単なる看護婦として雇われたとのことですけど、その後「らしゃめん(外国人に身を売る売春婦)」との噂に生涯苦しめられて酒に溺れるようになっていき、晩年は不幸だったとのこと。

そんな「唐人お吉伝説」を逆手に取ったかのような「母と娘の物語」。さまざまなビジネスチャンスが広がっていた当時の横浜の雰囲気も出ていますし、元町や関内などの地名の謂われも理解できたのは「おまけ」ですね。読後感も爽やかな秀作です。

2011/7