りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

天翔る少女(ロバート・A.ハインライン)

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50年以上前に書かれた作品で、火星に山脈がないなど不可解な点も多いのですが、そこは眼をつぶりましょう。火星や金星で人類が普通に屋外生活できるなんてのは、長期のテラフォーミングの成果と理解すればいいのでしょうし。^^

本書はジュブナイルとして書かれた作品です。火星生まれで地球年齢15歳の少女ポディが、手に負えない弟と、政治家の大伯父とともに豪華客船に乗って金星へと旅に出る物語。

宇宙船のパイロットを夢見る秀才少女のポディが、はじめての宇宙旅行に出て、文化の違いに触れ、大人の世界にちょっとだけ足を踏み入れた感想が、みずみずしく描かれているのですが、まぁ、そのあたりは、アメリカの田舎町からラスベガスに出てきた少女の体験記のようなもの。

途中まではなんと言うこともない話なのですが、終盤になって爆弾やら銃やらの物騒なものが登場し、最後には陰謀に巻き込まれてしまいます。それは、80億もの人口を擁して惑星社会への指導的立場を強める地球に対して月・火星・金星の惑星連合を進めるかどうかという、宇宙的規模の問題に関わる陰謀なのですが、少女の成長に主眼を置く本書においては「背景」にすぎません。

それはいいんですけど・・。「女性は感情的で愚かだから家庭に入っておとなしくしていろ」ってことですか?奥様をモデルとしたような強い女性を作品に登場させることも多い著者としては、ちょっと意外な展開でした。ネコちゃんも登場しませんでしたし。^^;

2011/7