りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

すれ違う背中を(乃南アサ)

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いつか陽のあたる場所でに続く、ムショ帰り女性コンビのシリーズ第2弾。

「過去」に怯えて新たな一歩を踏み出すことをためらっている30歳の芭子と、パン屋になる夢を持って精一杯に暮らしている40歳の綾香が、互いに支えあって生きていく物語。どこか頼りない芭子を見守っているようで、「堀の中」の体験を不用意に口走ってしまい、いつも芭子から「綾さんてばっ」と注意される綾香がいいキャラなんです。

「梅雨の晴れ間に」
いつも切り詰めた生活をしている2人が、商店街の福引に当たって大阪へのバス旅行。しかし、偶然大阪で出くわした綾香の元同級生は、暗くすさんだ男性でした。「おまえ、仙台に帰ってくんなよな」・・知られていたんですね。

「毛糸玉を買って」
ペットショップで働き始めた芭子はペットの洋服を手作りする副業を始めますが、警官の高木の一言で、前科がばれたと思って一晩中泣き明かしてしまいます。そんな中、近所で中年女性によるストーカー騒動が起こって・・。

「かぜのひと」
おせっかいにも綾香は芭子に男性を紹介。感じのいい男性でしたが、その正体は・・。芭子が飼いはじめたセキセイインコが「アヤサンテバッ」を覚えたのには爆笑です。

「コスモスのゆくえ」
か弱く可憐に見えるが意外と動じないコスモスの花。2人が知り合った「美女だから人懐こい」けど「ブスだったらずうずうしい」まゆみは、夫からDVを受けていました。自分が悲惨であると気づかないことが一番哀れなのかもしれません。打たれ強いボクサーは、ダメージを深く受けるのですから・・。

乃南さんの作品では「音道貴子シリーズ」が好きですが、このシリーズもなかなかのものです。

2011/1