シリーズ第3作で完結編。
地球から飛び出て宇宙に殖民を開始した人類が遭遇したのは、敵意に満ちた異種族たち。75歳以上の老人を寡り、若返って強化されたクローン肉体を与えて戦闘要員とするという「戦士の体験」を描いたのが第1巻。(これはかなり面白かったですね)
続く第2巻では、若返り前に死亡したクローン肉体に、意識のコピーをダウンロードして「製造」される「ゴースト部隊」の人間性の問題が描かれました。(このテーマは少々陳腐かも・・)
第2巻ラストで提示された問題は、「なぜ人類が宇宙で孤立しているのか?」。どうやら人類による「コロニー連合」のポリシーに問題がありそうなんです。人類出生の地である「地球」を隔離して都合よく利用しながら、宇宙での覇権を目指す「コロニー連合」の政策を変更させて、人類が「宇宙の孤児」である状態を脱するには、どうするべきなのか・・が本書のテーマ。
第1巻の主人公であったジョンが再登場。コロニー防衛軍を退役したジョンは、元の妻キャシーのクローンである元ゴースト部隊のジェーンを妻にし、第2巻で両親を失った少女ゾーイを養女として、殖民惑星での平穏な日々を送っていたのですが、新たな殖民惑星の行政官に指名されてしまいます。
絶体絶命に追い込まれたところからのジョンの機略、元ゴースト部隊のジェーンの戦闘力、ある種族にとって「特別な少女」となっているゾーイの不思議な役割などがうまく嵌ってラストは綺麗に決まりました。「ミリタリーSF」としては、戦闘シーンやガジェットが物足りないのかもしれませんが、私にはこの程度で十分です。
2009/10