今月のキーワードは「ユーモア」でしょうか。荒唐無稽な計画をコミカルに語りながらも深みを感じさせる『イエメンで鮭釣りを』も、大真面目な登場人物の振る舞いがどことなく滑稽な『最終目的地』も、いい作品でした。『イエメンで鮭釣りを』は今年から刊行がはじまった「白水社Exlibris」の第2弾。第1弾が『ジーザス・サン』ですから、今後も良質の翻訳書を期待できそうです。 「篤姫」を思わせるドラマチックな展開の『天涯の船』は、好みの作品でございます。^^Exlibrisホームページ
1.天涯の船(玉岡かおる)
明治中期。旧姫路藩家老の姫君の身代わりとして米国へ留学した下働きの少女が、オーストリア貴族の血を引く青年に求婚され、やはり留学中に知り合った日本の青年実業家に心惹かれながらも、欧州へと嫁いでいく。そして時代は戦争へ・・。「クーデンホーフ・ミツコ」と「松方幸次郎」をモデルにした純愛ドラマですが、もちろん2人の関係はフィクションです。好みでございました。^^
明治中期。旧姫路藩家老の姫君の身代わりとして米国へ留学した下働きの少女が、オーストリア貴族の血を引く青年に求婚され、やはり留学中に知り合った日本の青年実業家に心惹かれながらも、欧州へと嫁いでいく。そして時代は戦争へ・・。「クーデンホーフ・ミツコ」と「松方幸次郎」をモデルにした純愛ドラマですが、もちろん2人の関係はフィクションです。好みでございました。^^
2.イエメンで鮭釣りを(ポール・トーディ)
北洋を回遊する鮭を、砂漠の国イエメンに放流する? イエメン人の富豪が企画した前代未聞の無謀なプロジェクトに、首相官邸が関心を持ってしまったために、研究一筋の真面目なフレッドは振り回されていきます。奇跡は起こるのか。計画はどこに行き着くのか。ユーモアたっぷりの語り口ですが、信仰と人間関係がもたらす心のあり方についての深い洞察すら感じられます。
北洋を回遊する鮭を、砂漠の国イエメンに放流する? イエメン人の富豪が企画した前代未聞の無謀なプロジェクトに、首相官邸が関心を持ってしまったために、研究一筋の真面目なフレッドは振り回されていきます。奇跡は起こるのか。計画はどこに行き着くのか。ユーモアたっぷりの語り口ですが、信仰と人間関係がもたらす心のあり方についての深い洞察すら感じられます。
3.最終目的地(ピーター・キャメロン)
ナチスの迫害を逃れてウルグアイに移り住んだ作家の遺族たちは、虚構にも思える「作家の思い出」によって結び付けられていたのですが、作家の「公認の伝記」を著したいというアメリカの大学生の登場が、彼らの間の平衡を崩してしまいます。登場人物たちは、いったいどんな「目的地」へと向かうことになるのでしょう?
ナチスの迫害を逃れてウルグアイに移り住んだ作家の遺族たちは、虚構にも思える「作家の思い出」によって結び付けられていたのですが、作家の「公認の伝記」を著したいというアメリカの大学生の登場が、彼らの間の平衡を崩してしまいます。登場人物たちは、いったいどんな「目的地」へと向かうことになるのでしょう?
【その他今月読んだ本】
・エンジェル・エンジェル・エンジェル(梨木香歩)
・英雄の書(宮部みゆき)
・ミュージック・ブレス・ユー(津村記久子)
・門(夏目漱石)
・ジーザス・サン(デニス・ジョンソン)
・グリフターズ(ジム・トンプスン)
・ぐるりのこと(梨木香歩)
・幻の特装本(ジョン・ダニング)
・荒野の呼び声(ジャック・ロンドン)
・アーサー王ここに眠る(フィリップ・リーヴ)
・三四郎はそれから門を出た(三浦しをん)
・ハイク・ガイ(デイヴィッド・G・ ラヌー)
・夢の狩人―The sandman(ニール・ゲイマン)
・山田風太郎明治小説全集 7.明治断頭台(山田風太郎)
・蜂の巣にキス(ジョナサン・キャロル)
・貧困に立ち向かう仕事(西水美恵子)
・紅無威おとめ組 南総里見白珠伝 (米村圭伍)
・失われし書庫(ジョン・ダニング)
・マリリン・モンローという女(藤本ひとみ)
・エンジェル・エンジェル・エンジェル(梨木香歩)
・英雄の書(宮部みゆき)
・ミュージック・ブレス・ユー(津村記久子)
・門(夏目漱石)
・ジーザス・サン(デニス・ジョンソン)
・グリフターズ(ジム・トンプスン)
・ぐるりのこと(梨木香歩)
・幻の特装本(ジョン・ダニング)
・荒野の呼び声(ジャック・ロンドン)
・アーサー王ここに眠る(フィリップ・リーヴ)
・三四郎はそれから門を出た(三浦しをん)
・ハイク・ガイ(デイヴィッド・G・ ラヌー)
・夢の狩人―The sandman(ニール・ゲイマン)
・山田風太郎明治小説全集 7.明治断頭台(山田風太郎)
・蜂の巣にキス(ジョナサン・キャロル)
・貧困に立ち向かう仕事(西水美恵子)
・紅無威おとめ組 南総里見白珠伝 (米村圭伍)
・失われし書庫(ジョン・ダニング)
・マリリン・モンローという女(藤本ひとみ)
2009/7/1記