りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

チンギス紀 13(北方謙三)

潮州の礼忠館を継いだトーリオは、甘蔗糖ビジネスを拡大するために南方へと向かい、岳都へとたどり着きます。その先にあるのは小梁山。これからなつかしい名前も出てくるのかもしれません。そしてトーリオがモンゴルの物流を担う若者たちと出会うとき、海上の道と陸上の道は結ばれるのでしょう。

 

旧金国領の統治を進めるチンギスの末弟テムゲは、兵を市井に紛れさせてゲリラ戦を行っている完顔遠理をあぶりだそうとしたものの、逆に罠に嵌まってしまいます。テムゲを救ったボロクルが犠牲となり、完顔遠理は深手を負いますが、これで金の抵抗は止むのでしょうか。

 

鎮海城を襲った西遼の老将・獰綺夷は、迫り来るジェベ軍に降伏。西遼を簒奪していたナイマン王国の遺児グチュルクは殺害されて、モンゴルは西方の大国ホラズムと国境を接することになりました。しかしチンギスが送った外交使節団は、国境の町オトラルで惨殺されてしまいます。病を得ているホラズムのアラーウッディーン王は、モンゴルに勝てるのは今しかないと判断したようです。チンギスはジョチ、チャガタイ、ウゲディの3人の息子たちとともに、12万の大軍を率いて親征に乗り出します。

 

モンゴルに倍する兵力を有するホラズムには、北方の勇猛なカンクリ族傭兵団や、オトラルを治めるイナルチュクや、軍師テムル・メリクもおり、熾烈な戦闘が予想されます。王子ジェラールッディーンと行動をともにするジャムカの息子マルガーシは、どのような動きを見せるのでしょう。カスピ海はもう目前に迫っています。

 

2023/3