りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

マーダーボット・ダイアリー 下(マーサ・ウェルズ)

雇用主の統制モジュールをハッキングして命令の束縛から逃れ、宇宙を放浪している人型警備ロボット「弊機」の宇宙遍歴物語は佳境に入っていきます。彼女を買い取って法的にも自由の身としてくれたメンサー博士への恩を忘れることはないものの、人見知りな弊機は博士のもとからも飛び出してしまったのです。

 

「暴走プロトコル

弊機が向かった先は、かつてメンサー博士の率いる調査隊を襲撃した悪徳企業グレイクリス社が放棄した惑星ミル―でした。どうやらグレイクリス社は、惑星開発を名目としながら、人類の宇宙進出以前に存在した異星文明の遺物を発掘しているようなのです。犯罪調査チームの護衛を買ってでた弊機に対するのは、放棄されて暴走する戦闘ポッドでした。さらに調査チームの警備コンサルタントとして派遣されてきた人間も疑わしい行動を取るのです。

はじめ弊機は、調査チーム隊長の友人として遇されていた人間型ボットのミキをペットロボットとして蔑視していました。しかしミキの献身的な自己犠牲が弊機に何らかの影響を与えたようです。人間たちの勝手な行動に苛立ちながらも、しだいに芽生えてくるさまざまな感情に戸惑い始めています。

 

 

「出口戦略の無謀」

恩人であるメンサー博士に悪徳企業グレイクリス社の犯罪の証拠を送った弊機は、意外なニュースを耳にします。グレイクリス社の告訴を準備中であったメンサー博士が、逆に囚われてしまったというのです。惑星ミル―での弊機の行動が悪徳企業を焦らせてしまったのでしょうか。かつて行動をともにしたことのあるメンサー博士の同僚たちと出会った弊機は、博士の救出作戦に乗り出すのですが・・。

メンサー博士が指導するプリザベーション連合では、高度なボットに市民権を与えようとする動きがあるようです。弊機は、独立した警備コンサルタントとして活動できる安住の地を見つけることができたのでしょうか。もっとも損傷から回復したばかりの弊機の願いは、心行くまで連続ドラマを見続けるだけのことのようです。

 

正直あまり期待していなかったのですが、意外とハマってしまいました。続編も読んで見ようと思います。

 

2023/3

 

P.S.

2004年7月から記し続けている「読書ノート」も19年めを迎え、この記事で5000冊めとなりました。この間ずっと、平均して毎年266冊/毎月22冊以上の本を読み続けたことになります。継続って凄いな。