りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

スターシップ2海賊(マイク・レズニック)

前作『スターシップ1反乱』の読後感は良くなかったのですが、2冊シリーズを纏めて借りてしまったので、やむなく読書。こちらのほうがマシだったかな。

 

英雄的な軍人でありながら独断専行に走りがちなコール中佐が辺境宙域の老朽艦「セオドア・ルーズベルト」に左遷され、そこでも理不尽な船長の命令に背いて反乱を起こしたのが、前巻の物語。仲間によって牢獄から救出されたコールは、腐敗した共和制政府と航宙軍に嫌気が指していました。老朽船を奪取して星図もない中核側辺境宙域へと脱走し、海賊業を始めることにします。宇宙船を維持するには金がかかるし、数十人いる乗組員を養う必要があるのです。しかし正義のヒーローとしては、無辜の商船や住民を襲うわけにはいきません。彼が目をつけたのは、同業者の海賊を襲うことでした。

 

難破した貨物船を装い、海賊船をおびき寄せた初仕事はうまくいったものの、犠牲者も出てしまったし、略奪した宝物に故買屋がつけた値段は市価の5%にすぎません。大企業の保険屋の強欲さにつけこんで高く引き取らせることができましたが、海賊業も楽ではありませんね。そんな時、宇宙船を奪われてしまった伝説の女海賊と出会い、彼女のために船を取り戻す約束をしてしまいます。しかしその相手は、恐るべき人物だったのです。まるで展開が「ワンピース」だ。未読ですが。

 

ネタバレを書いてしまうと、彼は治安が乱れて海賊がはびこる辺境地域で傭兵になることにするのです。このシリーズはあと3冊書かれており、傭兵としての活躍や大団円が描かれているものと推察されますが、翻訳は本書で終わっています。「正義のヒーロー」が活躍する「古き良き時代」のSFには、読者がつかなかったのでしょうね。1970年代に書かれた本書が2010年に翻訳出版されたことだけでも驚きです。「スター・ウォーズ」の人気にあやかりたかったのかもしれませんが。

 

2022/12