キングズブリッジ修道院長となったフィリップは、トムを大聖堂建築の棟梁に指名。石材や木材の手当も見込みがつき、ついに普請が進み始めます。放浪のアリエナは意外にも商才がありました。わずかな貯えを元手にして羊毛の買い付けを行いますが、市場では相手にされません。しかし彼女を救ったのもまた、修道院長のフィリップでした。トムの義理の息子であるジャックは、年上ながら美しいアリエナに心惹かれますが、まだ相手にもされません。
しかし内乱の時代の中で、ものごとが順調に進むわけがありません。大聖堂の建設作業と市場の繁栄によって興隆するキングズブリッジと対照的に、新しくシャーリング伯となったウィリアム・ハムレイの領地は、領主の暴虐や悪政のせいで活気を失っていました。フィリップに敵対するウォールラン司教と組んだハムレイは、キングズブリッジを妬んで執拗な嫌がらせを仕掛けてきます。しかも女帝モードと交戦中のスティーブン王は、軍勢を提供するハムレイ家に好意的なのです。石垣を巡らせて度重なるウィリアムの襲撃を防いでいたキングズブリッジでしたが、ついに焼き討ちにあい、多くの死者が出る混乱の中でトムも亡くなってしまいました。
再び全てを失ったアリエナは、トムの息子ながら粗暴なアルフレッドとの結婚を余儀なくされます。トムの義理の息子ながら才能豊かなジャックは、失意の中でキングズブリッジから出奔。彼が生まれる前に亡くなった父親の面影を追ってスペインへと向かいます。大聖堂建設の試みはここで潰えてしまうのでしょうか。物語はさらに波乱万丈の物語となる最終巻へと続いていきます。
2022/9