りぼんの読書ノート

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大聖堂-果てしなき世界 中(ケン・フォレット)

4人の男女を巡る物語は大きな転機へと向かいます。保守的で陰険な修道院長ゴドウィンの支配下にあるキングスブリッジを自由都市に昇格させる運動に携わったカリスは、陰謀によって魔女裁判にかけられることになってしまいました。彼女が生命の危機を脱するには、女子修道院に身を預けて生涯独身の誓いを立てるしかありません。しかし彼女はそこで医療と看護の経験を積むことになるのです。

 

先進的な技術を用いて橋の修復工事を勝ち取ったマーティンは、修道院長と手を組んだ元親方に仕事を奪い取られてしまいます。修道女となったカリスとの結婚も不可能となり、失意のままキングスブリッジを出ることを決意。建築技術のさらなる修行のためにフィレンツェへと向かいます。

 

折しも英仏百年戦争が勃発。農民の娘を強姦した罪で死罪を言い渡されたラルフは、特赦を受けてシャーリング伯軍の一員として渡仏。なんとクレシ―の戦いで英国皇太子の命を救う武勲を立てるのです。報酬として騎士に叙任されて領地を獲得しますが、図らずもそこはグウェンダとウルフリックが暮らす村でした。かつてラルフに反抗的な態度を取った2人の農地取得請願は拒絶され、最下層の農民の暮らしから抜け出すことができません。

 

そんな中で、人々の営みを全て覆す大嵐がイングランドを襲おうとしています。ペストが上陸しようとしていたのです。未曽有の危機の中で人々はどう生き抜いていくのでしょうか。そして彼らは運命に翻弄され続けなければならないのでしょうか。物語は佳境へと入っていきます。

 

2022/8