りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2022/6 Best 3

1.レニーとマーゴで100歳(マリアンヌ・クローニン)

病院で終末医療を受けている17歳の少女レニーが、アートセラピーで83歳のマーゴと知り合います。ともに死と向き合っている年齢の離れた2人の女性は、自分たちが生きた証として、合わせて100年の人生を100枚の絵にして残すという計画を思いつきます。83歳のマーゴの波乱万丈の人生と、17歳のレニーの始まったばかりの人生は、どのようにシンクロしていくのでしょう。2人の死で終わるシリアスなテーマであるのに、ファニーで愛らしく仕上がっている「奇跡の作品」です。

 

2.パンドラの少女(M・R・ケアリー)

ゾンビが登場するディストピア小説ですが、カズオ・イシグロ氏から絶賛を受けた作品です。10歳の少女メラニーはなぜ特別なのか。彼女と共に隔離された基地からコロニーへと死の世界を移動する一行は、最後に残された希望を見出せるのでしょうか。それとも世界の死を見届けることになるのでしょうか。まるで映画のような視点人物の切り替えやストーリーの進行が面白い作品です。

 

3.横しぐれ(丸谷才一

イギリスの外国文学特別賞を受賞していることを含めて、今まで知らなかった中編です。亡き父親が、若き日の四国旅行で出会った乞食坊主は、死の直前にした山頭火だったのでしょうか。山頭火が多用した「しぐれ」という言葉を追って真相を突き止めようとした息子は、何を発見してしまったのでしょう。「横しぐれ=横殴りの激しい雨」を受けることになるのは、主人公自身だったのです。古さを感じさせない現代的な作品です。

 

【その他今月読んだ本】

メイズ・ランナー(ジェイムズ・ダシュナー)

・オリジン 上(ダン・ブラウン

・オリジン 中(ダン・ブラウン

・オリジン 下(ダン・ブラウン

・興亡の世界史0.人類文明の黎明と暮れ方(青柳正規/編)

・鯖猫長屋ふしぎ草紙 9(田牧大和)

・私のおばあちゃんへ(ユン・ソンヒ他)

・ジュスタ(パウル・ゴマ)

・短くて恐ろしいフィルの時代(ジョージ・ソーンダーズ)

・興亡の世界史1.アレクサンドロスの征服と神話(青柳正規編/森谷公俊著)

・少女霊異記(高樹のぶ子

・中年(丸谷才一

・たった一人の反乱(丸谷才一

・灰の劇場(恩田陸

・加賀金沢(室生犀星

・編集ども集まれ!(藤野千夜

・手のひらの音符(藤岡陽子)

 

2022/6/30