りぼんの読書ノート

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アポロンと5つの神託 4.傲慢王の墓(リック・リオーダン)

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父神ゼウスから「ギリシャ対ローマ」の戦いの発端であったとみなされ、罰としてレスターという16歳の人間に落とされたアポロンの冒険の目的は、現代に蘇った邪悪なローマ三皇帝に奪われた5か所の神託地を奪い返すこと。神の面影もないヘタレのレスターですが、神と人間のハーフ少女メグらの助力を得て前巻までになんとか3か所を解放。ドドナ、トロポニオス、エリュトライに続く目的地はクマエでしたが、ここにはアポロンによって過酷な運命に落とされた巫女シビラが囚われているのでした。

 

三皇帝のうちの2人、カリグラとコンモドゥスが巨大艦隊を率いて、サンフランシスコ湾にあるローマ側のハーフ訓練所を襲おうとする中で、アポロンらは使命を達成することができるのでしょうか。しかも三皇帝は、あまりにも横暴であったために市民から追放された最後のローマ王タルクイニウスを味方につけて、ゾンビたちを率いさせているのです。

 

アポロンが、神であった時の傲慢な振る舞いを反省する過程がいいですね。ゼウスの仕打ちはそれが目的だったのではないかと思わせられますが、ゼウスのほうが反省すべきエピソードが多いのですから解釈に苦しみます。最終巻となる次巻の舞台は、三皇帝の最後のひとりとなったネロと、アポロンの宿命のライバルである大蛇ピュトンに奪われている最強の神託地デルフィですね。もっとも古代ギリシャの聖域はすべて現代アメリカに移動しており、実際にはニューヨークに向かうようなのですが。

 

2022/1