「みをつくし料理帖シリーズ」本編の後日談を収録した短編集です。澪が大阪に戻ってから4年、懐かしい人々はどのように暮らしているのでしょう。
「花だより」
74歳になってつる屋店主・種市は、高名な占師に余命1年と告げられて覚悟を決めました。最後に澪との再会を果たすべく、大坂へ向かうという戯作者・清右衛門と版元・坂村堂に同行するのですが・・。占いなど聞き流すに限ります。
「涼風あり」
御膳奉行の小野寺数馬の妻となった乙緒は、夫と心が通じ合っていないのではないかと気になっています。義妹の早帆から、かつて夫が女料理人と想いあっていたと聞いて心乱れるのですが・・。夫婦には時に甘えあうことも必要なのでしょう。
「秋燕」
生家の高麗物屋の再建を果たした野江ですが、女名前禁止の大坂では彼女が店主でいられるのは3年だけ。婿を迎えることが求めれれているのですが、彼女は吉原のあさひ太夫であった頃に助けてくれた、今は亡き又次のことを忘れられないでいるのでしょうか。大切な人は意外と近くにいるのですね。。
「月の船を漕ぐ」
澪の夫となった源斉先生は大坂で診療所を開いていましたが、疫病が流行する中で倒れてしまいます。それは患者を救えない無力さと過労によるものだったのですが、そんな時に澪の料理屋にも危機が迫ります。夫婦は手を取り合って危機を乗り越えていけるのでしょうか。著者はこのシリーズの続編を書く予定はないとのこと。もちろん最後は大団円です。
2021/12