りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

男も女もみんなフェミニストでなきゃ(チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ)

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『半分のぼった黄色い太陽』や『アメリカーナ』でベストセラー作家となった、ナイジェリア出身の女性作家によるTEDスピーチです。2012年に行われたこのスピーチは話題となり、ディオールのパリコレでも同名のロゴTシャツが登場するほどだったそうです。「シングルストーリーの危険性」を説いてステレオタイプの思考を否定する著者は、どのようにフェミニズムを語ったのでしょうか。

 

常に自分の体験談から語り始める姿勢がいいですね。子供時代の体験や、親友だった男性からの指摘などのエピソードは、いかに男性優位の思想が社会的に満ちているかを考えさせてくれます。しかもそれに抵抗するフェミニズムという言葉が、いかにネガティブな重荷を背負わされているかということも、。著者は、フェミニズムとは男嫌いで不幸な女性による非アフリカ的な思想だとの非難に対して、「男嫌いではないハッピーなアフリカ的フェミニスト」と名乗っているそうです。もちろんここは笑う所なのですが、内容は深いのです。

 

社会に進出した女性がどれほど「好かれるふり」をしているか。世界にはどれほどの「好まれる女性になるための情報」が溢れているか。女性の成功がなぜ男性にとっての脅威となるのか。男性が結婚生活のために犠牲にするのは趣味や娯楽にすぎないのに、女性はキャリアや夢を捨てなくてはならないのか。そしてなぜ女性は互いを競争相手とみなすように育てられるのか。自然に受け入れられる言葉に溢れている本書は、とりわけ男性にお勧めしたいですね。「We should all be feminists」のタイトルにふさわしい作品です。

 

2021/10