りぼんの読書ノート

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フォックスファイア(ジョイス・キャロル・オーツ)

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1938年に生まれてノーベル文学賞の候補とまでなった著者が1990年に著した作品です。しかし本を構えて読む必要はありません。1950年代のアメリカの小都市で、虐げられた少女たちが秘密のグループを作って不条理な世間に立ち向かっていく物語なのですから。

 

圧倒的な存在感を見せるカリスマリーダーのレッグスが、4人の仲間を集めて少女ギャング団「フォックスファイア」を結成する経緯から物語は始まります。レッグズを含めた5人の少女たちは皆、DVやセクハラやイジメの標的となっている社会的弱者ばかり。当時流行していた不良少年たちのギャング団を真似たスタイルですが、中身は大違い。セクハラ教師や商店主に復讐したり、彼女たちをセックスの対象としか見ない少年グループと張り合ったりという、男社会の論理に歯向かう少女たちの戦いは痛快です。中性的なリーダーのレッグズ、無頼派ゴールディ、モデル体型のラナ、元いじめられっ子の可愛いリタ、本書の語り手である優等生モディという構成も、そのまま現代の少女戦隊メンバーになりそうなほどに魅力的。

 

しかし彼女たちの活動は次第に変質していくのです。女子矯正施設で過酷な体験をさせられたレッグズの悲願は、メンバーたちが同居できる家を持つことでしたが、そのためには資金が必要です。そのための活動が美人局のレベルであったうちはまだ表沙汰になることはありませんでしたが、この種の活動がエスカレートしていかないわけはありません。しかもメンバーの数も増えたことで、内部の不協和音も生まれてきます。物語は破滅へと向かっていくのですが、一転して余韻を漂わせるエンディングに・・。

 

本書は2度映画化されていますが、最初の1996年版では、当時20歳のアンジェリーナ・ジョリーがレッグズを演じたとのこと。すっかりセレブとなってしまった現在からは想像できませんが、実際に壮絶な少女時代をおくっていたというアンジは適役だったのではないでしょうか。

 

2021/7