りぼんの読書ノート

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ゴーストハント3 乙女ノ祈リ(小野不由美)

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ごく普通の女子高生にすぎない谷山麻衣のバイト先は、なんと心霊現象の調査をする渋谷サイキックリサーチ。そこの所長はまだ17歳の青年に過ぎない渋谷一也であり、あとは謎めいた助手のリンさんがいるだけなのですが、これまで学校に憑りついた悪霊や呪われた旧家の謎を解いてきています。今回の事件は、名門女子高校で頻発する怪奇現象。生徒や教師に対して、狐憑き、幽霊、ポルターガイスト、呪いによる事故などが次々に起こっているというのです。

 

例によって、個性豊かな霊能力者たちも登場。ど派手巫女の松崎綾子。ミュージシャン坊主の滝川法生。金髪美少年エクソシスト神父のジョン・ブラウン。美少女霊媒師の原真砂子。調査の結果、それらの現象は旧怪談と新怪談の2つの系統に分かれており、護符や除霊は旧怪談系の現象にしか効果がないということが判明。しかも新怪談系の現象は次第に強まってきており、ついには麻衣や一也までもが襲われてしまいます。やがて判明したのは悲しい真相。この事件を起こした者はある意味被害者であり、最初のきっかけは善意だったのです。

 

第2巻で一也の正体が陰陽師であるように描かれていましたが、陰陽師は助手のリンさんのほうでした。では一也の能力はいったい何なのでしょう。そして普通の女子高生にすぎなかった麻衣も、次第に普通ではなくなってきている様子。全7巻のシリーズであり、最終巻で全ての伏線が回収されていくとのこと。著者の代表作である『十二国紀シリーズ』に先立つ30年前に書かれた作品なので少々古く感じる部分もあるのですが、物語がうまくできているのでほとんど気になりません。

 

2021/4