りぼんの読書ノート

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ウィンターズ・テイル 上(マーク・ヘルプリン)

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3度目の千年紀を迎えようとする時に、ニューヨークという大都会が完全なる正義の都市という高みへと駆け上る物語・・とでも言うのでしょうか。これだけでは何のことかわかりませんよね。実は上下巻1000ページを読了してもよくわからない奇書なのですが、とりあえずメモを記しておきましょう。

 

19世紀末のマンハッタンで大勢のギャグ団に追われる青年ピーター・レイクを助けたのは、ブルックリンの厩から逃げ出した空飛ぶ白馬でした。どうやらギャング団の首領パーリー・ソームズは悪魔であり、白馬アサンソーは守護天使のようなのですが、この段階ではまだ何もわかりません。物語はピーター・レイクの生い立ちへと移っていきます。

 

アメリカ入国を拒否された移民夫婦が模型船「正義の都市号」に乗せて海に流した幼児は、ニュージャージーの沼地に盤踞する狩漁民一族によって12歳になるまで育てられ、マンハッタンで少女スリ師たちに迎えられ、少年院で機械修理を学んだ後に脱走。ギャング団で10年間すごして頭角を現したものの、恩ある沼地の一族を襲撃する際に一味を裏切って追われていたのです。

 

白馬アサンソーに助けられたのち、盗みに入った新聞王アイザック・ペンの屋敷で娘ベヴァリーに恋したピーターは、彼女と相思相愛の中になるのですが、彼女は結核で死期が迫っていたのです。天に昇って行ったべヴァリーの魂を追って天馬アサンソーとともに天井の世界へ向かったピーターは落下して雲の中に姿を消してしまうのでした。

 

そして数十年が過ぎ去り20世紀末のニューヨークでは、アイザックが遺した新聞社は孫娘ジェシカと、神がかった婚約者ブレイガーによって経営されていました。そこに集まったのは、聖杯の騎士のように「正義の都市」を追い求めてサンフランシスコからやってきたハーデスティと、カナダ国境近くにあるらしいどこからも孤絶したコヒーリズ湖からやってきた深い知恵を有するヴァージニア。誰よりもニューヨークの水路を知るアズベリと空から落ちてきた白馬を助けたクリスティアーナ。そしてライバル新聞社を経営する強欲で狡猾で狂気に満ちたクレイグ・ビンキー。さらに時を超えてやってきた橋梁建築の司祭ジャクソン・ミード。

 

どうやら役者はそろったようです。下巻ではどのような物語が展開されるのでしょう。

 

2021/1