りぼんの読書ノート

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不思議の国の少女たち(ショーニン・マグワイア)

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「不思議の国」や「ナルニア国」や「オズ」のような異世界に行って戻ってきた少年少女たちは、無事に社会復帰できるのでしょうか。意思に反して現実世界に戻らされてしまった者たちに、現実と折り合うすべを教える学園は必要なのでしょう。今日もまたその学園に、冥界に落ちて死者の王に愛でられたことを忘れられないナンシーが転入してきました。

 

全生徒が「向こうに帰りたい」と切望していることを除けばごく普通の学園でしたが、ナンシーの入学と同時に不気味な事件が起こり始めます。事件現場から失われたものは、スミの器用な両手、ロリエルのよく見える目、アンジェラの美しい脚、セラフィナの美貌。まるでどこかのマッドサイエンティストが「完璧な女の子」を創り出そうとしているようなのですが、犯人の目的は何なのでしょうか。

 

「向こう側の異世界」は、ナンセンスとロジックの2種類があるようです。ナンシーと同室になった騒々しいスミがいたお菓子の国はナンセンス。女の子のような少年ケイドがいた妖精界は一見ナンセンスなようで実は高ロジック。ジャックとジルの姉妹がいたヴァンパイア世界は高ロジックというように。

 

「アリスたちのその後」という発想がいいですね。本書は完全なファンタジーですが、ヒューゴー、ネビュラ、ローカスという3大SF賞を受賞している作品です。全3部作だそうですので、続編も読もうと思います。

 

2020/12