りぼんの読書ノート

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ミレニアム6 死すべき女(ダヴィド・ラーゲルクランツ)

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スウェーデンが生んだ世界的ヒット作『ミレニアム3部作』の著者スティーグ・ラーソンの死後、新たな3部作を書き継いだ著者による「新3部作」が完了。新シリーズでリスベットの敵役を務めた、邪悪な双子の妹カミラとの死闘にもついに決着が付けられます。しかし「死すべき女」とは、いったい誰のことを指しているのでしょうか。

 

物語は、ストックホルムの公園で身元不明の男の死体が発見されたことから始まります。その男のポケットにミカエルの電話番号が書かれた紙切れが入っていたことから、ミカエルは調査を開始。やがてその男は、ヒマラヤのシェルパであったことが判明するのですが、なぜ彼はスウェーデンでホームレスになっていたのでしょう。その背景には過去のエベレスト登山で起こった悲劇があったのですが、なんとそこにはリスベットの父親ザラチェンコも関わっていたのです。スウェーデン政界においては、近隣の大国ロシアとの関係は常に微妙な問題なのですね。

 

一方でリスベットは、カミラとの決着をつける機会を掴みながら、彼女を殺すことができませんでした。リスベットの家庭は「彼女と母親」対「妹と父親」の対決構図であったと信じていたのですが、カミラは全く孤独な戦いをしていたのではないかということに気づいてしまったのです。しかし父親の仇であるリスベットを狙うカミラには迷いはありません。ザラチェンコの秘密を暴きだしたミカエルを人質に取って、リスベットを罠に落し入れようとするのですが・・。

 

エベレスト登攀中に起こった事件が持ち出されるのは少々唐突な感があるのですが、著者は登山家でもあり、山岳ノンフィクションも著した経歴があるとのこと。シリーズ最終作を綴るに際して、自身の得意分野を持ち出すことで万全を期したのでしょう。著者はこのシリーズの執筆を続けることはないとのことですが、また新たな作家を迎えて続編が書き続けられるのかもしれません。リスベットというスーパーキャラクターは、このまま終わってしまうには「あまりにも惜しい」のですから。

 

2020/10