りぼんの読書ノート

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紅霞後宮物語 第0幕4(雪村花菜)

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後に「伝説の皇后」となる関小玉の軍人時代を描く「第0幕」も4巻目に入りました。本書では主に、小玉の兄嫁であった三娘と、従卒から宦官になって小玉に仕える清喜クンについてが描かれています。 

 

亡くなった母の服喪で生国の貧村に戻ってきた小玉を迎えたのは、兄嫁の三娘と、まだ名前もつけられていなかった息子でした。既に軍人として出世しつつあった小玉に名付け親の依頼をしたものの、そんなこと聞いてない状態で放置されていたのは、もちろん「引きずらない性格が小玉と似ている」丙クンです。そんなことより小玉を悩ませたのは、小玉を振って隣村の名主の娘と結婚した元許嫁が再び迫ってきたこと。妻を亡くしたなどの事情はわかるものの、これは無理ですね。なぜか休暇を申請して小玉の世話をしに村までやってきた清喜らが必死に対応するのですが、この事件が小玉の出生地を不明にしてしまった原因だったようです。 

 

喪が明けて軍務に戻る小玉とともに上京した三娘と丙の母子は、新しい生活に次第に馴染んでいきます。筋骨隆々でおおらかな明慧、後方支援に長けた年長の蘭英、退役して食堂を経営し子育てネットワークの中心になっている阿蓮などの女性武官たちの存在は心強いもの。もちろん心優しく芯の強い三娘は、自分の力で自分の居場所や役割を切り開いていくのですが、彼女には小玉に言えなかった秘密があったのです。それは幼い日に謎の老婆から告げられた、小玉に関する不思議な予言だったのですが・・。 

 

さて、小玉には新しい軍務が待っていました。ややこしい新上司の班将軍の配下になって、隣国との戦争に臨むのですが、悲劇がそこで起こります。清喜クンには、このような過去があったのですね。著者はこの後、このシリーズの刊行ペースを落とすとのことです。内容をじっくり練りたいとのことですので、仕方ありませんね。特に本編のほうは物語の転換期に来ていることですので。 

 

2020/9