りぼんの読書ノート

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陋巷に在り 8 冥の巻(酒見賢一)

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満月の強大な魔力を利用する子蓉に対して、医鶃は最後の手段を用います。それは巫医の神である祝融の力を借りること。しかもその成否は、薬草漬けの酒で一時的に意識を殺して祝融と出会うことになる、顔回次第というのですから、名医としては不本意でしょう。 

 

祝融に叱咤されながら九泉の魔界へと舞い降りた顔回を待っていたのは、姉妹のように並び立つ子蓉と妤でした。もっともこの2人以外のものが待っていたら、あまりにも意外すぎますよね。しかし最後の対決の場で子蓉が召喚したのは、なんと孔子だったのです。師と議論して師の誤りに気付いてしまった顔回は気力を失いそうになりますが、最後の瞬間に孔子が本物ではないことに気づくのでした。 

 

真と偽の僅かな違いは、話術ではなく誠術だったようです。偽孔子の正体は子蓉によって召喚された女魃神でしたが、さすがに神との戦いは顔回の手に余ります。神界でもライバルである祝融と女魃の戦いが始まりますが、顔回と子蓉の対決はどのような決着を迎えるのでしょう。そして顔回は妤を連れ返れるのでしょうか。 

 

2020/8再読