りぼんの読書ノート

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上と外(恩田陸)

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物語の舞台となっているのがグアテマラのティカル遺跡。国立公園の入り口からピラミッド神殿群にたどり着くまで60キロもあるという、広大なジャングルに広がるマヤ遺跡であり、スターウォーズ4のロケ地にもなったという所。著者が実際に訪れたのは本書を書いてしばらくたってからとのことですが、遺跡の特徴をみごとに捉えた冒険物語になっています。 

 

主人公は中学生の練と小学生の千華子の兄妹。離婚した家族が年に一度集う夏休みに、考古学者の父親がいる中米のG国までやってきました。いきなり気まずい雰囲気になったところで、とんでもない事態が発生。軍事クーデタが起こって、避難中のヘリから兄妹が落下してしまうのです。 

 

両親が探すであろう目印の神殿を目指してジャングルを彷徨う2人は、ニコと名乗る現地の少年に救出されますが、それは冒険の始まりにすぎません。千華子を人質にとられて練は、生死を賭けるほどに危険なマヤの儀式への参加を強制されてしまいます。その一方でクーデタは不思議な様相を見せ始めます。中米各地で被支配民族であるインディオたちが、国境を超えてG国に集まってくるのです。 

 

クーデタの目的は何なのか。それは少年たちが参加しているマヤの儀式と関係しているのか。そしてマヤ暦に予言されているという「楔が抜ける時」とは何を意味しているのか。軟禁状態から抜け出した両親は、子供たちを救出できるのか。ノンストップアクションですが、最後はつじつま合わせに走ったかな?この頃の恩田さんの作品にはよくあることなので、驚きませんでしたが。 

 

2020/7