りぼんの読書ノート

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活版印刷三日月堂4.雲の日記帳(ほしおさなえ)

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川越の小さな活版印刷所「三日月堂」を再開させた弓子さんの物語は、ここでいったん完結します。最終巻にふわさしく、これまで描かれた人々もたくさん再登場。そして弓子さんの想いと夢も実現に向かいます。 

 

「星をつなぐ線」 

プラネタリウムがリニューアル記念に、開業時に作成した星座早見盤の復刻を試みます。しかし特別な木口木版を用いた印刷を再現できるのでしょうか。そういえば、亡くなった弓子さんのお父さんは天文学の道に進んでいたんですよね。この仕事が縁で「川の合流する場所で」に登場した盛岡の印刷会社に勤める青年・悠生との関係が深まったようです。 

 

「街の木の地図」 

ゼミの課題で川越を題材とする雑誌を制作することになった女子大生は、苦手な男子と、存在感の薄い女子とチームを組むことになってしまいました。しかし、バイト先で関わった星座早見盤をきっかけにして三日月堂を訪れ、様々な人たちの話を聞く中でチームメイトたちへの考えも変わってきます。そして彼女たちが選んだ題材は・・。2人の女子大生は後で弓子とも大きく関わってきます。 

 

「雲の日記帳」 

学生時代に文学の新人賞を授賞ながら筆を断っていた古書店主は、小さな出版社を経営しているかつての同人誌仲間の訪問を受けます。古書店主が毎月出していたリーフレットの後書きとして書いていたエッセイを出版することを勧められるのですが、彼が消極的なのには理由があったのです。 

 

「三日月堂の夢」 

これまで関わってきた人たちの助けを得て、活版での書籍印刷という弓子さんの夢が実現に向かいます。その過程で彼女は、ともに生きていきたい男性と出会うこともできました。これが最終章のはずでしたが、三日月堂の過去を描いた第5巻と、未来を描いた第6巻が出版されているようです。登場人物たちを覚えておかないといけませんが、レビューに人名を書いておかなかったことは致命的かも? 

 

2020/6