りぼんの読書ノート

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京都伏見のあやかし甘味帖 4(柏てん)

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一瞬にして仕事も恋も失って京都で人生休憩中の小薄れんげのシリーズ第4作の舞台は、京都を離れて平泉に移ります。れんげは、前巻で赤ちゃんから見る見る成長した義経と、彼を天狗たちから救いに現れた弁慶を連れて、義経の妻の墓所へと向かったのです。これを機に、迷惑をかけっぱなしだった民泊主人の虎太郎のもとを離れようとの気持ちも働いていました。もちろんれんげを主人と慕う伏見稲荷の子狐神徒のクロも同行。 

 

しかし平泉で一行を待ち受けていたのは、現地のあやかしたちでした。クロの活躍で危機を脱したものの、まだまだひよっこのクロが力を振るえたのは、れんげの力を奪って使ってしまったからだったのです。そしてれんげの素性も判明。彼女は、伏見の主である神狐・小薄が人間との間に生したハーフの末裔だったのですね。なんとか為すべきことを終えた義経と弁慶は本来居るべき場所へと戻っていきますが、己の非力を恥じたクロは一大決心をして、れんげのもとから去ってしまいます。 

 

一方京都では、好きな和菓子の道へと進むことを決めた虎太郎が苦戦中。しかし彼には和菓子職人としての適性はあるのでしょうか。年齢差こそあれ、商社でバリバリ働いていたれんげのマーケッティング力と組み合わせると結果を出せそうなのですが。かくして物語の舞台は再び京都へ戻ります。れんげはクロと再会を果たすことができるのでしょうか。軽いテイストの作品ですが、時代考証などはしっかりしていますね。最近はこういう作家、特に女流作家が増えたようです。次巻も楽しみです。 

 

2020/2