りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

陰陽師 女蛇ノ巻(夢枕獏)

稀代の陰陽師安倍晴明と心優しき笛の名手・源博雅の名コンビが活躍する「陰陽師シリーズ」は、本書で第16巻にあたるようです。初めのころは、悪役陰陽師芦屋道満との対決や、博雅が鬼から名笛「葉二(はふはつ)」を入手するエピソードなどの動きもあったのですが、最近ではどの話も同じように思えるマンネリが続いています。 

 

しかしそのマンネリ感こそがこのシリーズの魅力でもあるのでしょう。道満が戯れに作った傀儡人形が人として振舞った話。かつて死に追いやった義母の恨みが筍によって発動した話。土精が土狼へと育ってしまった話。牛車に轢かれた男蛇の恨みを女蛇が晴らそうとする話。死相を観て取る高僧こそが惨事の原因であた話。俵藤太に退治された百足の呪いに乗り移られる話。広隆寺の裏で赤蟻と黒蟻が戦いを繰り広げる話・・。 

 

どれもが生命の源たる「呪」というキーワードに行き着く物語であり、理屈の苦手な博雅は「呪」を理解していなくてもそれを体感しているとの大筋は変わりません。しかしその安定感こそが魅力なのです。そういえば本書には「虫愛ずる姫君」とおぼしき露子姫が2つの作品に登場してきました。ニューヒロインの誕生なのでしょうか。 

 

2019/11 

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稀代の陰陽師安倍晴明と心優しき笛の名手・源博雅の名コンビが活躍する「陰陽師シリーズ」は、本書で第16巻にあたるようです。初めのころは、悪役陰陽師芦屋道満との対決や、博雅が鬼から名笛「葉二(はふはつ)」を入手するエピソードなどの動きもあったのですが、最近ではどの話も同じように思えるマンネリが続いています。 

 

しかしそのマンネリ感こそがこのシリーズの魅力でもあるのでしょう。道満が戯れに作った傀儡人形が人として振舞った話。かつて死に追いやった義母の恨みが筍によって発動した話。土精が土狼へと育ってしまった話。牛車に轢かれた男蛇の恨みを女蛇が晴らそうとする話。死相を観て取る高僧こそが惨事の原因であた話。俵藤太に退治された百足の呪いに乗り移られる話。広隆寺の裏で赤蟻と黒蟻が戦いを繰り広げる話・・。 

 

どれもが生命の源たる「呪」というキーワードに行き着く物語であり、理屈の苦手な博雅は「呪」を理解していなくてもそれを体感しているとの大筋は変わりません。しかしその安定感こそが魅力なのです。そういえば本書には「虫愛ずる姫君」とおぼしき露子姫が2つの作品に登場してきました。ニューヒロインの誕生なのでしょうか。 

 

2019/11