りぼんの読書ノート

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鉄路2万7千キロ世界の「超」長距離列車を乗りつぶす(下川裕治)

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長距離列車に乗るだけの貧乏旅行などは自分の旅行スタイルからは程遠いのですが、「怖いもの見たさ」で時々読んでしまいます。本書は「世界の長距離列車ランキング」の中から、重複を避けて、現在乗車可能な5本の列車に乗車した記録です。乗車順は距離数の順番ではありません。
 

 

・インド(ディブラガル-カンニャクマリ)4273km 

ミャンマー国境からインド最南端を走るルートですが、なぜかコルカタやチェンナイなどの大都市を避けて通る路線。これは出稼ぎ列車であり、LCC路線との競合を回避しているようです。それにしても指定席無視で乗車率250%の車内での、4泊5日の旅は厳しいものです。 

 

・中国(広州-ラサ)4980km 

三段寝台の硬臥列車はすでにおなじみですが、鉄道周辺の厳しい警備やラサ到着時の別室審査など、中国が抱えるチベット問題が垣間見える路線だそうです。標高5068mの世界最高地点を通る列車には、酸素吹き出し口も装備されているとのこと。雲上世界での「星空列車バー」は魅力的ですが。 

 

・ロシア(ウラジオストク-モスクワ)9259km 

終点まで7日かかるシベリア鉄道では「400kmは距離ではない」そうです。車内は禁酒禁煙だそうですが、ロシアで守られるはずはありませんね。既に4回もシベリア鉄道には乗っている著者には慣れた世界のはずですが、毎回新しい発見もあるとのことです。 

 

・カナダ(バンクーバートロント)4466km 

インド、中国、ロシアの長距離列車の後ではカナダの列車は天国なのですが、寝台列車は高価なので椅子席利用。ジャスパーまでは華やかな観光列車ですが、その後はひたすら草原地帯。しかも貨物列車とすれ違うたびに待避線に入るため、7時間以上遅れて到着。連結車両の多い貨物列車は待避線に入りきらないからなのですが、それも考慮して時刻表を作って欲しいものです。 

 

アメリカ(シカゴ-ロサンゼルス)4390km 

LCCや長距離バスが全盛のアメリカでの長距離列車は、国内輸送量のわずか0.13%しか占めていないそうです。しかしそこには意外な存在理由がありました。それは肥満問題。確かに超肥満の方々に、バスや飛行機の旅は辛そうです。ついでながら車内売店食のレベルも世界最悪だとのこと。 

 

ちなみに世界最長路線に1位、2位は「平壌-モスクワ(10267km)」と「ウラジオストクキエフ(10260km」)だそうですが、どちらも政治的理由で運休中のようです。 

 

2019/8