りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

世界の歴史4「ビザンツ帝国とイスラーム文化」(J.M.ロバーツ)

西ローマ帝国滅亡以降、文化の中心はコンスタンチノープルに移ります。1543年にオスマントルコによって陥落させられるまで千年続いた東ローマ帝国でしたが、その歴史は、勃興してきたイスラム勢力とスラブ民族の前に領土を失い続けた緩やかな滅亡の過程…

奇跡の自転車(ロン・マクラーティ)

43歳で独身。体重126キロで、頭髪も薄くなってきた。昼間は単調な仕事。夜は酒とタバコとジャンクフードの生活。そんな、完全に「負け組み中年」のスミシーの生活に変化が起こります。 両親が一度に交通事故で死亡した日に、20年以上消息を絶っていた…

アイの物語(山本弘)

機械に支配された未来で、機械を憎む青年が美少女型アンドロイドに囚われます。意外なことに、アンドロイドのアイがとった行動は、青年に「物語」を読み聞かせること。それは、AIが生み出される前に人間によって書かれた、AIと人間を巡る物語でした。ア…

【番外】心に残ったSF小説

SFとして括られる範囲は、困ってしまうほど広いですね。スペース・オペラも、時間旅行も、異星人も、超能力も、ロボットも、ファンタジー色の濃いストーリーも、みんなSFと言われるのですから。 たぶん、何が「正統派」なのかを論じることには意味はない…

図書館戦争(有川浩)

うかつにも第2作の『図書館内乱』から読み始めてしまったのですが、「逆順」もたまにはいいかもしれません。 だって『戦争』のほうが『内乱』よりもずっとおもしろい。このシリーズ、りあむさんが言うように、ベースはラブコメなのでしょう。図書館を巡る情…

8エイト(キャサリン・ネヴィル)

こういう女性が、スーパーレディなんだろうな。コンピューター業界で活躍し、バンカメの副社長まで勤めたキャリアの傍ら、 画家、モデル、写真家まで経験し、小説まで書いちゃうんですから。作風としては「ダン・ブラウンの先駆者」。本書の後に書かれた『マ…

風神秘抄(荻原規子)

『勾玉シリーズ』の第4弾にあたりますが、勾玉はもう登場しません。平安末期、もはや神代は遠くなっています。 物語は平治の乱から始まります。敗走する源氏一統に付き従う若武者、草十郎は、落ち武者狩りに合う13歳の頼朝の身代わりになって村にとどまる…

ゴールデンタイム(山田宗樹)

『嫌われ松子の一生』の続編です。といっても、ともに松子の生涯を追跡調査した、松子の甥の川尻笙と、笙の元恋人の明日香が主人公というだけ。直接の関係はありませんね。 あれから4年後、24歳になった2人の人生は大きく離れました。笙は、大学は卒業し…

ビッグフィッシュ(ダニエル・ウォレス)

死の床にある父を看取ろうとする息子が、父親の人生を語ります。ところが、父から聞かされてきた話はすべてホラ話なのです。 釣り上げた大ナマズに引っ張り込まれて訪れた湖底に沈んだ街。父の故郷の出口にあって、都会に出て夢を実現する見込みのない者を永…

世界の歴史3「古代ローマとキリスト教」(J.M.ロバーツ)

いよいよ第3巻は、ローマ時代に突入して歴史っぽくなってきました。だいたい世界史を苦手な人は、ヨーロッパの中世で嫌になるようです。そういう意味でも中世時代は「暗黒時代」になりやすいのですが、中世を理解するためには、まず、ローマを知らなければ…

三月は深き紅の淵を(恩田陸)

姉妹作の『麦の海に沈む果実』は、「記憶を巡る物語」でしたが、本書は「物語を巡る物語」ですね。 『麦の海に~』でも謎の本として登場する「三月は~」ですが、ここでは4話のオムニバスを貫いて、しっかり主役を張っています。全てが1冊の本を巡っての物…

風に舞い上がるビニールシート(森絵都)

6つの短編からなる本です。森さん、この本で直木賞を取ったのですね。まず、このタイトルが素晴らしい。 「風に舞い上がるビニールシート」のイメージは、世界各地で危機が起こるたびに「発生」する難民と結び付けられます。強風にあおられ、次々と舞い上が…

スカヤグリーグ(ウィリアム・ホアウッド)

何だか意味わからないタイトルですよね。でもこれは、とってもとっても感動した本なのです。 主人公の「ぼく」が出会った「スカヤグリーグ」というゲームは、とっても奇妙な質問から始まるものでした。「あなたの妻は出産で亡くなり、残された赤ちゃんは重い…

春の戴冠(辻邦生)

ボッティチェルリの「春」を解説していたTV番組を見て、学生時代に読んだこの本を読み返してみたくなりました。 ストーリーはシンプルなのです。ルネッサンスの中心であった、花の都フィレンツェの栄光と没落を、時代を象徴した画家サンドロ・ボッティチェ…

アラトリステ3 ブレダの太陽(アルトゥーロ・ペレス・レベルテ)

マドリッドが舞台の1・2巻では、宮廷や異端審問官の謀略を相手に個人の名誉をかけて闘ったアラトリステですが、3巻の舞台は戦場です。オランダ独立戦争の12年間に及んだ休戦期間が終わり、フランドルで死闘を繰り広げるスペイン軍の一員として戦場に戻…

名もなき毒(宮部みゆき)

宮部さん、相変わらず文句をつけようもないほど上手です。テーマも、展開も、結末も、人物描写も、すべて完璧です。でもだからこそ、かえって物足りなく思えてしまう。宮部さんには、もっと強烈なサプライズを期待しているからでしょうか。 主人公は『誰か』…

ウイグルの叛乱(柘植久慶)

いまどきまだ、こんな本があるんですね。 太平天国の乱をテーマに小説を書こうと中国へ取材に行った作家が、ウイグルの分離独立を求めるテロリストグループの女性と知り合い、北京政府の面子を失墜させるために北京オリンピックスタジアムを爆破する計画に協…

アナンシの血脈(ニール・ゲイマン)

冴えない人生を送っているチャーリーの、長年別居していた父親が急死。葬儀に駆けつけた彼に告げられた、驚天動地の衝撃の事実とは、「あんたの父さんは神だったからね~。」!!! そういえば父親アナンシにはいつの間にか何でも思い通りにしてしまう不思議…

ケナリも花、サクラも花(鷺沢萠)

20歳を過ぎるまで韓国の血が流れていることを知らなかった作者は、「ハングルに感電」して韓国に半年間の語学留学を果たすのですが、彼女にとっての「1/4の祖国」は、決して優しくはない国でした。 インタビューでは必ず「韓国に対する祖国愛を感じるか…

2007/1 あなたのTシャツはどこから来たのか?(ピエトラ・リボリ)

1位にあげた『あなたのTシャツは・・』は、気鋭の経済学者が、グローバル経済に関する俗論を「ものがたり」形式で検証した本。複雑な世界経済の実態を、見事に解き明かしてくれました。 17世紀スペイン剣士の冒険譚『アラトリステ』もいいですね。もちろ…

麦の海に沈む果実(恩田陸)

この本は、「信用ならざる語り手」による独白ですね。序章でいきなり記憶の持つあやふやさが語られるあたりから、読者は著者のマジックに捉えられてしまうかのようです。語り手が手にしている『鏡の国のアリス』も、そのための小道具。 語り手の理瀬が14歳…

サイボーグ009完結編1(石の森章太郎、小野寺丈)

数年前、TV東京でアニメ化されたのを、全部見ちゃってました。最終章「天使編」が未完で終わったのは、とっても残念だったのです。だから作者の石の森さんが、死の床で書き溜めた構想を基にして、息子の小野寺さんが小説に纏めたと聞いた時、嬉しく想いま…